亡き父の遺志を継いだ 蔵元と杜氏の二足の草鞋

二本の川と山に囲まれた自然豊かなまち、可部町。
元々、宿場町として栄えていたこの土地に「旭鳳酒造」はあります。

可部という街

 

【旭鳳酒造は1865年創業という歴史のある酒蔵】

代々、太田川と根の谷川の両水系から湧き出る酒造用地下水を使い近郷産の良質な米を原料として酒造りを行ってきました。
蔵独特の伝統を守り、今日に至るまでその味を代々受け継いでいます。

現在の蔵元は濱村洋平さん。
洋平さんは旭鳳酒造の7代目であり杜氏も兼務しています。
酒造りをするきっかけになったのは先代の蔵元であったお父さんの死だったと言います。

何代も前から続く酒造りのバトンを受け取ったのは、洋平さんがまだ二十代も半ばの頃。洋平さんは、若くして歴史のある酒造の酒造りの全責任を負う立場に立ちながらも、懸命に酒蔵の運営と酒造りに取り組んできました。

 

旭鳳

 

「今は代表を引き継いで9年目になります。就任したのが26歳で、杜氏になったのが27歳の時です。うちは歴代、代表が杜氏をやったことはなく僕が初めてのことでした。親父も酒造りは杜氏に任せていましたし、その親父像が自分の中に色濃くあったので、僕も当初は全く酒造りをする気は無かったんです。

きっかけになったのは親父が亡くなった時。葬式の日に『親父の為に酒を一本造りたい』って、そう思い立ったんです。思い立ってすぐその日に『親父の為に酒を一本造りたいんで、一から酒造りを教えてください』と杜氏に言っていました。親父が亡くなったのが夏だったんですけど、その年の秋からお酒造りが始まりました。その時に自分で色々考えて、初めて一本の日本酒を造ったんです」
(濱村洋平さん) 

洋平さんが初めて作った思いの詰まったお酒が純米吟醸「泰平」です。
泰平という名前は、六代目の父・泰司さんと洋平さんの名を一文字ずつとって命名したそうです。

泰平の由来

 

「旭鳳酒造らしさを考えた『KB酵母』がハマるはず」

洋平さんは、「泰平」をどのような1本に仕上げたのか?
その試行錯誤の取り組みを、伺いました。 

「どんなお酒を造ろうかと考えた時に、まず悩んだのは原料です。お米を何にするか?酵母を何にするか?です。お米はやはり広島県産のお米が良かったので、八反錦にしました。
次に酵母をどうしようか考えた時、杜氏に相談したところ『KB酵母』という名前が出てきました。

KBというのは親父も開発に携わった酵母で、可部のイニシャルをつけた思い入れのあるもの。親父とタッグを組んでいた杜氏もずっと使っていた酵母でした。

親父はもともと酒造りに関しては余り口を出さずに杜氏に対して自分が納得する酒を造れという人でした。ただし、杜氏が変わるたびに他の酵母を使うことがあって、そのたびに味がブレていたと思うんです。

杜氏ごとに個性が違うので仕方のないことですが、酵母が変わるたびに旭鳳酒造の色というのが薄れていたと思うんです。

そんな背景もあって、旭鳳らしさや、親父の意思を形にするならKB酵母がハマるだろうと自分は考えました。

KB酵母の特性でもありますが、お酒を口に含んだときに、口の中で少し漂って柔らかい旨味と余韻があり、料理と一緒にゆっくり飲めるお酒なんです」
(濱村洋平さん)

 

KB酵母  数々の賞受賞

 

「硬水に近い軟水だから軟らかいお酒が生み出せる」

旭鳳酒造では、酒造りの重要な要素である「水」に、街をぐるりと囲む山と川からダイレクトに恩恵を受けた可部の地下水を使用しています。

可部の地下水は軟水ですが、軟水の中でも硬水に近い成分を持ちます。元来、日本酒の酒造りには、酒造りに適している硬水を使う酒造が多く硬水に近い可部の水は、硬水と軟水のいいところを併せ持ち、発酵がしっかり進みながら軟らかく仕上がると評判のお水なんです。

軟らかさが酒の味わいに出るので口に含んだ時にトゲがない口当たりのいい酒になります。

旭鳳酒造の代表作である「旭鳳」は、その硬度のある仕込水によってふくよかな味わいのお酒となっています。キレイなタイプのお酒でも厚みが出るのが特徴で非常にクリーミーな質感に仕上がっています。クリーミーな質感のお酒はクリーム系のお料理やオイルを使ったお料理にもピッタリ。
牡蠣などの奥行のある味わいを包み込み、味わいを引き出してくれますし、ジューシーな肉料理にもよく合います。

 

旭鳳酒造の仲間

 

150年も蔵の歴史が続いてきたのは、可部という街そしてこの地域の方々に支えて頂いたおかげなんです。お水だって可部の水を使わせてもらっていますし可部という街に感謝の気持ちがとても強いんです。
可部という街は住所で言えば広島市なのですが広島市の中心からすると郊外に位置していて、川もあり、山もあり、自然が豊かな街です。
会社の目標としては、この街と一緒に、階段を登るように一歩一歩進んでいきたい。お酒と一緒に可部の魅力を伝えて、可部に人を呼べる酒造になりたいと思っています」
(濱村洋平さん)

旭鳳酒造のお酒一覧はこちらをクリック